2016年7月30日土曜日

ドリアンー果物の王 塚谷祐一

嗚呼、マンゴスチンが食べたい。あのヤクルトみたいな味のマンゴスチンを食べたい。心ゆくまで。


「ドリアンー果物の王」を読み終わったあとの私の一番の感想がこれだった。塚谷先生、ごめんなさい。



マンゴスチンは、バリ島で出会った。
そしてバリ島は私の旅の中でも圧倒的に勢い(しか動機がない)で行くことになった旅だろう。
ある時、旅に出たくなった。いつのも癖である。ある時、発作的に旅に出たくなる。
でも私は一人旅はあまり好きでない。できれば、誰かと旅先で思ったことを共有したい「今日のご飯、美味しかったね」とか。


発作的にTwitterに書き込んだ。

「海外旅行に行きたい。一緒にいく人募集!」

疲れていたんだと思う。そこで旅行相手を探すとは。しかし、しばらくしたら、「ポーン」という音。メンションが飛んできた。

「私も行きたいです!」

という経緯で、Oさんと海外旅行に行くことになった。Twitterで会話してるし、研究者だし、女性だし、まぁ大丈夫だろ(何が?)、ベトナムのリゾートに行きたいな、フランス領だったし。とか何とかやりとりをしていたのだけど、結局、リゾートとして洗練されているという理由でバリ島のヌサ・ドゥアを選んだ。(そして林芙美子の浮雲を読んでいる今、ベトナムに行きたくなっている)

ヌサ・ドゥアはインドネシア政府がリゾート地として観光客向けに開発したリゾート地。セキュリティチェックゲートの中は、現地の人は入れないらしい。


安心、安心。実は初の東南アジア旅行だった。


選んだのは、高級リゾート・ヴィラ。ベッドルームとリビングルームは別の棟、プライベートプール付きコテージ。高級スパあり、毎日ごはんは、自分たちのヴィラまで好きなモノを好きなだけ運んできてくれるというサーヴィス。

私が選びました。激務のOさんとは、出発まで一度も電話することなく(当然お会いしたことなど無い)、羽田空港の国際線待合ロビーのソファではじめましてのご挨拶を交わしました。

ガルーダインドネシア航空の飛行機に飛び乗り、バリ島へ。
通されたヴィラのベッドルームのベッドは、天蓋付きで薔薇の花弁が散らしてあった…。

私、「もしや、新婚旅行用とかのヴィラなのか!?」

Oさん、「もしかして、そういうカップルと思われてる!?私達!?」

多分、ただのサーヴィスだったと思う…。



バリ島旅行は、東南アジア初心者の私がビビりだったので、ヌサ・ドゥアから出ないで、ひたすらヴィラを満喫。そしてヴィラのウェルカムフルーツにあったのがマンゴスチン。

初めて食べた時は、なんだこれ!?こんな美味しいフルーツがあるのか!!しかも、可食部少なっ!!一人2個とか足りない、もっと食べたい。いっぱい食べたい。

というわけで、ヌサ・ドゥアの外国人観光客向けスーパーで買い込んだマンゴスチン…。ヴィラのスタッフに、可能な限りいろんな種類のマンゴーを食べたい!とリクエストして、毎日食べた様々なマンゴー…。



いやいや、いやいやいやいや。



…ドリアンの美味しさを説いている本なのに、マンゴスチンやマンゴーの話があるもんだから、マンゴスチンのことを思い出してしまった。だってドリアン食べたことないんだもん。



それにしても

「手頃な値段でドリアンが手に入った時は研究室に持っていく」

って、私が隣のラボに在籍した時代なんだろうか。うぅ、もっと隣のラボに出入りしておけば、もしかしたらドリアンが食べられて、「ドリアンー果物の王」を読んだら、ドリアン食べたくなったかもしれないのに。どうしてあのラボを私のお茶するご近所ラボとして開拓しておかなかったんだろう。友達も居たのに。


それにしても、見事な展開である。植物学者が書いた珍しい植物の解説本だと思ったら大間違いだ。気づいたら日本の歴史に引き込まれている。

そして、見事な国語力。正しい日本語とはコレだ!という感じ。



それはともかく。

読書エッセイブログを始めて「最近おすすめの本は?」と聞かれることが増えた。
これまで取り上げた本は、、、残念ながら誰も読んでくれない…だろう。そして今読んでいる本も、漱石の長編だったりするからやっぱり誰も読んでくれない。
そこで、「ドリアンー果物の王」の出番である。新書ということもあり、そして私が植物の研究者だから(?)からか、高頻度で読んでもらえる、そしてそれぞれに熱い感想を教えてもらえる素晴らしい本である。なんで今はKindle版しかないんだろう。Kindle版が嫌だから、古本屋から取り寄せた、という方もいた。せっかくだから、冊子体としても引き続き販売して欲しいと思う。

しかし、お勧めして読んでくれた植物好きな友達の感想は、

「私もドリアンの種子を発芽させてみたくて、ドリアン嫌いの旦那を説得している」

だったので、植物を育てるのが好きな人は着眼点が違うな、と思った。
そういう意味で私はやっぱり、モデル植物の研究者なのであって、植物好きとは言えないなぁ。などとぼんやり考えるのだった。

カラー版ドリアンー果物の王

塚谷祐一


中公新書1870 

2006年10月25日 初版

Kindle版